丹波篠山地域商社 創造農村

新プログラムたんばささやまアカデメイア × 認知科学コーチング 6ヶ月

持ち帰った「問い」を、
現状の外側のゴールに。

アカデメイアの3日間で、参加者は答えではなく「問い」を持ち帰ります。自分は本当は何をしたいのか。仕事を通して、社会に何を届けたいのか。その問いを日常に埋もれさせず、一人ひとりが「現状の外側のゴール」を描き、心からやりたい(Want to)仕事として形にしていく。そのための認知科学コーチングを、6ヶ月間の伴走でお届けします。

現状 コンフォートゾーン やり方が見えている世界 スコトーマ(盲点)の外側 現状の外側の ゴール やり方はまだ見えない Want to
4.86/5アカデメイア第2期の
プログラム満足度
第2期参加者アンケート(回答7名)
34%研修の1年後も、
内容を職場で使っている割合
Saks & Belcourt, 2006
88%研修にコーチングを加えた
ときの生産性向上
研修のみは22.4%/Olivero et al., 1997
66日新しい行動が習慣になる
までの中央値
個人差は18〜254日/Lally et al., 2010

The problem

研修の気づきは、なぜ元に戻ってしまうのか

150社の研修担当者を対象にした調査では、研修内容を職場で使っている人の割合は、直後の62%から、半年後には44%、1年後には34%まで下がっていました。原因は、気づきの質よりも、人が「今の状態」を保とうとする仕組みにあります。

研修内容を職場で活用している割合

0%20%40%60%80% 62%44%34% 研修直後6ヶ月後1年後
出典:Saks, A. M. & Belcourt, M. (2006). Human Resource Management, 45(4). 150組織の研修担当者による推定値。

コンフォートゾーンとホメオスタシス

いつもの自分 コンフォートゾーン 気づき 3日間で外へ ホメオスタシス 元の状態に戻す力 ゴールが現状の内側にある限り、脳は「今の自分」を保とうとする
人の心と身体には、慣れ親しんだ状態を保とうとする働き(ホメオスタシス)があります。キーガンとレイヒーも、人が変われない背景に本人も気づかない思い込みがあると指摘しています(Kegan & Lahey, 2009)。

現状の外側にゴールを置かない限り、「現状維持」がゴールになってしまう。気づきを変化に育てるには、ゴールそのものを動かす必要があります。

What happens in 3 days

3日間で、参加者が持ち帰った4つの問い

第2期の参加者アンケートを、認知科学コーチングの考え方で読み解くと、参加者は4つの問いを持ち帰っていました。どれも、6ヶ月のコーチングで向き合うテーマそのものです。

問い 1|スコトーマ

自分は、何を見落としてきたのか

脳は、重要だと思う情報しか見ていません(RAS)。いつもと違う現場に身を置くと、当たり前すぎて見えていなかったものが、急に見えるようになります。

黙食を初めて体験して、いかにこれまで適当に食事していたかに気付いた。Kさん(神事)

問い 2|Want to

自分は、本当は何をしたいのか

農家、猟師、窯元、80代の炭焼きの担い手。損得ではなく「やりたいから」続けている人の姿が、自分の「〜すべき(Have to)」に気づかせます。

オモロいからやる。シンプルだが本質が詰まっていた。Tさん(挑戦者の話)

問い 3|職業機能

仕事を通して、何を届けたいのか

肩書ではなく、自分は仕事を通して社会にどんな価値を届けたいのか。地域の担い手の覚悟に触れて、多くの参加者がこの問いを持ち帰りました。

改めて自分の仕事を通して、世の中や人々にどのような価値を提供していきたいのか?をしっかりと考えなおすきっかけとなった。Kさん(農業)

問い 4|抽象度

誰のために、何のために働くのか

山の大きさや800年続く伝統に触れると、自分中心の視点から、地域・社会・次の世代へと視野が広がります。より高い抽象度でゴールを考える準備が整います。

自分の守りたい大義への思いは、損得や好き嫌いを超えてことを進めていく力になるということを感じた。抽象度の高いゴールに生きる姿です。Aさん(ジビエ)

3日間で、問いは生まれます。その問いに自分なりの答えを出し、ゴールと行動に変えていくには、職場に戻ってからの時間と、伴走する相手が必要です。

Cognitive science coaching

認知科学コーチングの基本となる考え方

6ヶ月の伴走では、認知科学に基づくコーチングの考え方を使います。ゴールの置き方を変えることで、脳が見る情報と、自分への評価が変わり、行動が自然に変わっていく。そのための主な要素は次の8つです。

現状の外側のゴール

今のままの延長では届かず、達成の方法がまだ見えないゴール。やり方が見えるものは、すでに「現状」の一部です。

Want to

「〜しなければ」ではなく、心から「〜したい」こと。行動そのものが報酬になるので、努力や根性に頼らず続きます。

職業機能の定義

肩書や職種名ではなく、自分が仕事を通して社会に果たしている「機能」を言葉にすること。報酬とは切り離して考えます。

バランスホイール

仕事だけでなく、家族・健康・趣味・社会貢献など人生の複数の領域にゴールを置き、全体として豊かさを描きます。

エフィカシー

ゴールを達成する自分の能力への自己評価。高いほど、困難な状況でも道を見つけやすくなります。

コンフォートゾーン

慣れ親しんだ居心地のよい状態。ゴール側の世界に臨場感を持つことで、ゾーンそのものをゴール側へ移します。

スコトーマとRAS

脳は重要だと判断した情報だけを拾う(RAS)。ゴールが変わると、それまで見えなかった情報や機会(スコトーマの外)が見え始めます。

セルフトーク

人は1日に膨大な数の言葉を自分に語りかけています。その言葉がゴールにふさわしい自己イメージをつくるよう、整えていきます。

Have to と Want to

Have to 〜しなければならない Want to 心から〜したい ・動機が外にある・役割・評価・期待・続けるのに意志力が要る・創造性が下がりやすい ・動機が内にある・行動そのものが報酬・自然に続く・工夫とアイデアが湧く
内発的動機づけの研究(自己決定理論:Deci & Ryan)とも重なる考え方です。

「べき」から「したい」へ

役割を果たすことに慣れた人ほど、自分のゴールを「会社のため」「期待に応えるため」で埋めてしまいがちです。コーチングでは、まず本人のWant toを掘り起こし、そこからゴールを描きます。

人の目を気にしてしまい、やった方がいいと思うこともできなくなること。Oさん(チーム実習で気づいたこと)

肩書ではなく「機能」で、自分の仕事を定義する

ハサミの機能は「ハサミであること」ではなく「切ること」です。同じように、自分が無意識に時間とエネルギーを注いでいる行動の共通点から、自分が社会に果たしている機能を言葉にします。これが、会社のビジョンと個人のWant toをつなぐ橋になります。

吉良さんの責任を背負う覚悟を目の当たりにして、自分はなんの責任を背負いたいのかと考えるきっかけになった。Kさん(農業)

職業機能を定義する流れ

1 肩書例:営業部マネージャー 2 行動(動詞)聞く・つなぐ・育てる・提案する… 3 無意識の共通点つい時間をかけてしまうこと 4 職業機能「人の可能性を見つけ、場をつくる」
例は架空のものです。実際のセッションでは、本人の言葉で定義します。

バランスホイール:人生の8つの領域

自分の ゴール 仕事家族健康趣味 社会貢献生涯学習人間関係ファイナンス
8つの領域すべてに、現状の外側のゴールを置きます。領域の分け方は一例です。

仕事だけで考えないから、ゴールが本物になる

家族や地域、健康、学び。人生の複数の領域にゴールを置くと、仕事のゴールも「自分ごと」として力を持ち始めます。アカデメイアで多くの参加者が口にした「豊かさ」は、まさにこの全体像への問いでした。

何よりも「自分にとっての豊かさとは何か」というテーマを持つことができました。Iさん(全体の感想)

Adult development

成人発達理論から見た、このプログラムの位置づけ

ハーバード大学のロバート・キーガンは、大人の知性は「周囲の期待に応える段階」から「自分の価値観で判断する段階」、さらに「自分の枠組みそのものを問い直せる段階」へと発達すると説きました。自己主導の段階に達している大人は半数に満たないとされています。認知科学コーチングの要素は、この移行を後押しする道具として働きます。

キーガンの発達段階と、プログラムの役割

環境順応型自己主導型自己変容型 周囲の期待・役割が判断の軸になる 自分の価値観と責任で判断する 自分の枠組みそのものを問い直し、更新できる アカデメイア 揺さぶり、問いを生む 6ヶ月のコーチング ゴールを描き、定着させる
Kegan, R. (1994). In Over Our Heads. 段階の移行には、通常数ヶ月から年単位の時間がかかります。

発達段階と、コーチングの要素の対応

移行起きること使う要素
外 → 内他人のHave toから、自分のWant toで判断するWant to/セルフトーク
役割 → 機能肩書に同一化した自分を、客観的に扱えるようになる職業機能の定義
部分 → 全体仕事だけでなく人生全体と社会の視点で考えるバランスホイール/抽象度
現状 → 外側やり方の見えないゴールを持ち、更新し続ける現状の外側のゴール/エフィカシー

キーガンは、それまで自分と一体化していたもの(主体)を、距離を置いて扱えるもの(客体)にすることを発達の本質としました。

Why 6 months

なぜ、6ヶ月の伴走なのか

新しいゴールを描いても、コンフォートゾーンがゴール側に移るまでには時間がかかります。キーガンは、人が発達するには「支える環境」が必要で、その環境には3つの働きがあるとしました。コーチは半年間、職場の外にこの環境をつくります。

CONFIRMATION

受け止める

揺らぎや「もやもや」を否定せず、Want toを安心して語れる場をつくります。高いゴールを語っても笑われない相手がいることが、エフィカシーの土台になります。

CONTRADICTION

揺さぶり続ける

職場に戻ると、古い見方とセルフトークがすぐに戻ってきます。ゴールが現状の内側に戻っていないか、スコトーマに隠れた前提はないか、問い続けます。

CONTINUITY

そばに居続ける

変化の途中で相手がいなくなると、人は元の状態に戻りやすくなります。新しいゴールが当たり前になるまで、同じコーチが半年間伴走します。

研修だけの場合と、コーチングを加えた場合の生産性向上

0%50%100% 研修のみ 22.4% 研修+コーチング 88%
Olivero, G., Bane, K. D. & Kopelman, R. E. (1997). Public Personnel Management, 26(4). 米国の公的機関の管理職31名を対象にした研究です。

6ヶ月という期間の根拠

  • 習慣化には2ヶ月以上かかる。新しい行動が自動的になるまでの中央値は66日、個人差は18〜254日でした(Lally et al., 2010)。
  • 職場でのコーチングの効果は、メタ分析で確認されている。パフォーマンス、目標に向けた自己調整、仕事への態度などに有意な効果が報告されています(Theeboom et al., 2014/Jones et al., 2016)。
  • エフィカシーは経験で育つ。自己効力感は、小さな達成の積み重ねや身近なモデルの姿によって高まるとされます(Bandura, 1977)。毎月のセッションで、小さな達成を確かめます。
  • 発達段階の移行には時間がかかる。ものの見方の変化は数ヶ月から年単位で進みます。半年は、変化が始まり定着に向かうための最小限の期間です。

Program

6ヶ月の流れ(全8ステップ)

事前セッションで出発点を確かめ、アカデメイアの3日間で問いを持ち帰り、その後6ヶ月、月1回の1対1セッションでゴールを描き、定着させます。

事前セッション

現状を知る

バランスホイールで人生の各領域を棚卸しし、今のコンフォートゾーンを確かめます。

アカデメイア 2泊3日

問いを持ち帰る

丹波篠山の現場でスコトーマを外し、Want toで生きる人々に出会います。

1ヶ月目

Want toを見つける

持ち帰った問いを言葉にし、Have toとWant toを仕分けます。

2ヶ月目

現状の外側にゴールを置く

8つの領域すべてに、やり方の見えないゴールを描きます。

3ヶ月目

職業機能を定義する

肩書ではなく機能で自分の仕事を言葉にし、会社のビジョンとつなぎます。

4ヶ月目

エフィカシーとセルフトーク

ゴールにふさわしい自己評価と言葉づかいを整えます。

5ヶ月目

コンフォートゾーンを移す

ゴール側の世界に臨場感を持ち、職場での行動を小さく変えていきます。

6ヶ月目

ゴールを更新し、組織へ

変化をふり返り、次のゴールと、チームや組織への還元を描きます。

各回のテーマは一例です。一人ひとりの状況に合わせて進めます。セッションはオンラインで実施し、同じコーチが担当します。

For HR & executives

人事・経営の視点で期待できること

研修を「やりっぱなし」にしない

気づきが職場の行動とゴールに変わるまで伴走するため、研修投資の効果が残りやすくなります。

自分でゴールを描けるリーダーを育てる

与えられた目標をこなす人から、現状の外側にゴールを置き、周囲を巻き込んで進む人への移行を支えます。

個人のWant toと会社のビジョンをつなぐ

職業機能を言葉にすることで、「会社のためにやらされる仕事」を「自分がやりたい仕事」へと結び直します。

事業承継を控えた後継者の軸づくり

「何を守り、何を変えるか」を、自分の言葉と高い抽象度のゴールで語れる状態を目指します。

貴社の育成課題に合わせて、ご提案します。

対象となる方の人数や役職、育成のねらいをお聞かせください。アカデメイア単体でのご参加や、企業向けの個別開催もご相談いただけます。

参考文献

  1. Bandura, A. (1977). Self-efficacy: Toward a unifying theory of behavioral change. Psychological Review, 84(2).
  2. Deci, E. L. & Ryan, R. M. (1985). Intrinsic Motivation and Self-Determination in Human Behavior. Plenum.
  3. Jones, R. J., Woods, S. A. & Guillaume, Y. R. F. (2016). The effectiveness of workplace coaching: A meta-analysis. Journal of Occupational and Organizational Psychology, 89(2).
  4. Kegan, R. (1982). The Evolving Self. / Kegan, R. (1994). In Over Our Heads. Harvard University Press.
  5. Kegan, R. & Lahey, L. L. (2009). Immunity to Change. Harvard Business Press.(邦訳『なぜ人と組織は変われないのか』)
  6. Lally, P. et al. (2010). How are habits formed. European Journal of Social Psychology, 40(6).
  7. Olivero, G., Bane, K. D. & Kopelman, R. E. (1997). Executive coaching as a transfer of training tool. Public Personnel Management, 26(4).
  8. Saks, A. M. & Belcourt, M. (2006). An investigation of training activities and transfer of training in organizations. Human Resource Management, 45(4).
  9. Theeboom, T., Beersma, B. & van Vianen, A. E. M. (2014). Does coaching work? A meta-analysis. The Journal of Positive Psychology, 9(1).

参加者のコメントは、第2期参加者アンケート(2026年9月、回答7名)の原文から抜粋しています(…は中略)。お名前はイニシャルで表記しています。